詳細:ピアノ音楽の権威であり、著名な評論家でもあるブライス・モリソンは、ハンガリー出身のこの傑出したピアニストについて、「アニー・フィッシャーは、あらゆるピアニストの中でも最も偉大で、最も豊かな才能を持つ人物の一人だった」と評しています。批評家として知られるロシアの著名なピアニスト、スヴャトスラフ・リヒテルは、彼女を「偉大な精神と真の深遠さを吹き込まれた芸術家」と評しました。フィッシャーは、モーツァルト、ベートーヴェン、シューマン、シューベルト、ショパンはもちろん、同郷のリスト、バルトーク、コダーイの作品でも広く称賛されました。しかしながら、彼女は国際的な名声を博しているにもかかわらず、同世代の他のピアニストと比較すると、おそらくレコード化されることは最も少ないでしょう。これは主に、録音という手法を嫌ったためで、彼女は生演奏の自由さと自発性を好んでいました。ベートーヴェンのピアノソナタ全曲のスタジオ録音は、長年にわたり、様々なプロデューサーと共同で行われたことはよく知られています。彼女はその結果に決して満足しませんでした。そのため、このBBCのベートーヴェン・ソナタ選曲によるリサイタルでは、アニー・フィッシャーの演奏が、本来の意図通り、つまり生演奏で、しかも舞台袖で捉えられたかのような、非常に貴重な録音となっています。ソナタ第30番のプロデューサー、ミーシャ・ドナットは次のように述べています。「彼女はスタジオでの演奏が大嫌いだったので、これは本物の演奏です。常に完全な『テイク』で録音されていましたが、時には同じ楽章を2回演奏することもありました」。