詳細： CARMの音楽は、通常はドラム、ギター、ボーカルが担う役割をホーンが担い、楽器奏者がバンドリーダーを務める音楽というジャンルの枠を飛び越えています。ジャズでもクラシックでも、サウンドトラックでもありません。通常は背景の色彩や質感として用いられる音を、臆面もなくリードボーカルとしてフィーチャーした、現代ポピュラー音楽です。 CARM、別名CJ・カメリエリは、「『過去のトランペット奏者のヒーローたちが今どんなレコードを作るだろうか？』という疑問から始まりました。彼らは最高のプロデューサー、ビートメーカー、ソングライター、そしてシンガーたちと組んで、真に文化的に意味のある新しい音楽を作りたいと願っているはずです。それがこのプロジェクトで目指したことです」と語る。ミネアポリスでライアン・オルソン（Polica、Lizzo）がプロデュースし、スフィアン・スティーヴンス、ジャスティン・ヴァーノン（ボン・イヴェール）、ヨ・ラ・テンゴ、シャラ・ノヴァ、マウス・オン・マーズ、フランシス・アンド・ザ・ライツなど、数多くのアーティストとのコラボレーションを収録。全く独自のサウンドでありながら、カメリエリのこれまでのキャリアを象徴するコラボレーションの数々を振り返る作品となっている。 ヴァーノンはこう語る。「音楽界全体を見渡しても、彼ほど熟達した金管楽器奏者はいないと確信しています。これは単なる“ホルン”のレコードを遥かに超えるものです。音楽創造の可能性を新たな高みへと押し上げた発見なのです。」 アルバムはフレンチホルンのオーケストラブラスコーラスで幕を開け、すぐにフランシス・アンド・ザ・ライツのピアノサンプルへと移り、スフィアン・スティーヴンスとルッペンが豊かなホルン群の上で歌声を織り交ぜ「Song of Trouble」を歌い上げる。アルバムの冒頭を飾るのは、同じピアノサンプルから始まる、ヴァーノンによる美しく象徴的な歌詞がアルバムの最後を飾る「Land」だ。この世代を代表する二人のアーティストによる作品には、「Soft Night」の伸びやかなメロディー、「Nowhere」のエンニオ・モリコーネを彷彿とさせるファンファーレ、「Already Gone」のヨ・ラ・テンゴのジョージア・ハブリーとアイラ・カプランによる妥協を許さないオリジナリティ溢れるサウンドなどがある。「After Hours」と「Invisible Walls」のダークでミステリアスな旅路の後は、10年以上前にスフィアン・スティーヴンスが初めてツアーで共に演奏したノヴァの卓越した歌声へと繋がっていく。 「Slantwise」と「Scarcely Out」は、より実験的な方向性へと私たちを誘いますが、yMusicのメンバーであるRob MooseとGabriel Cabezasによるストリングスが、アルバムの冒頭を飾るピアノサンプルへと私たちを再び誘います。使い古されたサウンドを再利用しがちな飽和状態の現代音楽市場において、CARMは独自の声を求める人々に安息の場を提供してくれるでしょう。