詳細： 『Visitor』で、Empathは前作で聴かれたサウンドの幅をさらに広げようとした。彼が「ウェスト・フィリー・クリスマス」（ペンシルバニア大学の学生が引っ越して、路上に大量の良質なゴミを置き去りにする週）と呼ぶ期間に、Randall CoonはJamiroquaiのレコードのプリセットのサウンドバンクが入ったスーツケース型オルガンを発掘し、後にアルバムで演奏した。さらにAbletonでサンプルを流し、真新しいシンセも手に入れた。90年代の子供用キーボードを演奏するJem Shanahanは、Portraitでフィルターをかけ、「子供っぽくない」サウンドに仕上げた。『Active Listening: Night on Earth』ではミックスの奥深くに埋もれていたCatherine Elicsonのボーカルが中心となり、Garrett Koloskiのドラムはライブセットで鳴らされるような迫力に満ちている。 「僕たちの曲作りへのアプローチ、そして常に改善しようとしているのは、サウンド的にもコンセプト的にも実現しようとしている、それぞれの異なる視点やアイデアの接点を見つけることなんです」とエリクソンは語る。「ひとつの曲やサウンドに縛られることは絶対にしたくないし、あらゆる種類の即興音楽が好きなんです。それぞれの曲に、自分たちが愛するものすべてを詰め込み、その融合のプロセスを通して、何か新しくてエキサイティングなものが生まれればいいと思っています。」 『Visitor』は、物理的にも精神的にも、目に見えるものも見えないものも含め、空間を埋めようとする試みだ。アルバムのジャケット写真は、廃墟の内部を捉えるアンドリュー・エモンドが撮影した。「空間は人間によって生活し、変化させられているように見えるが、実際には人間はそこにいない」とエリクソンは振り返る。「曲は、人と人の間にある『空間』について歌っているという点で共通している。特定の人物について歌っているわけではないが、人々が互いに残す感情、こうした主観的な経験を描いている。『Visitor』は、人々が去った場所に残る記憶や感情のサウンドトラックと言えるだろう。」 EmpathはVisitorに一連のサンプルを収録しており、それら全てが調和して、まるで周囲の雑音をかき消しているかのようなアルバムのサウンドを生み出している。「音は映画、マインクラフト、バイユーの自然音カセット、エアコンの音、そしてリハーサルをしている倉庫の壁越しに聞こえる教会の聖歌隊の音から取ったんだ」とエリクソンは語る。「壁越しに生命の音が聞こえるような感覚を生み出すために、サウンドのコラージュを作ったんだ」Visitorは、その空間を繋ぐ試みだ。確かに不可能な試みだが、彼らの努力の結果、独特の超越的な体験が生まれた。 EMPATH / VISITOR - LPレコード