詳細:メジャーレーベルからの3枚目のリリースとなる今作で、フォール・アウト・ボーイは2度のマルチ・プラチナ・ディスクを獲得したスターとして帰ってきた。そして、彼らが目指すもの、つまり、偉大なロックバンドによる、偉大なロックアルバムを巧みに届けてくれた。2000年代のエモに見られたパンクの要素は既に失われているイリノイ州出身の4人組は、自らが選んだジャンルの枠にとらわれず、パワーポップ、グラムロック、そしてクラシックロックのフックが織りなすラウドなサウンドに飛び込んでいく。デビューシングル「I Don't Care」は、「Spirit in the Sky」をスキニージーンズとガイライナー姿の観客のためのアンセムとして再構築し、「俺のことならお前がどう思おうと構わない」といった痛烈な名言を、ベーシスト兼作詞家のピート・ウェンツが歌っている。シンガー兼ギタリストのパトリック・スティンプは、いつもの力強いコーラスに加え、ソウルフルで伸びやかなボーカルフレーズを新たに加えている。特に「Headfirst Slide Into Cooperstown on a Bad Bet」や、エルヴィス・コステロとジム・クラス・ヒーローズのトラヴィス・マッコイがゲスト参加したストリングス・パワーバラード「What a Catch, Donnie」といった曲では、その力強さが際立っている。ファレル・ウィリアムスとデビー・ハリーもゲスト参加している『FOLIE A DEUX』は、型破りな作品ではないものの、フォール・アウト・ボーイがなぜ世界を席巻したのかを改めて思い起こさせてくれるだろう。