詳細：滅多に演奏されることのないハイドンの聖書オラトリオ「トビアの帰還」のこの特別な演奏は、意外な贈り物によるものでした。チューリッヒ・オペラ・オーケストラの演奏家たちによって結成された「オリジナル・サウンド」アンサンブル、ラ・シンティラ管弦楽団が、ニコラウス・アーノンクールに名誉会員の称号を与えたのです。この栄誉には、アーノンクールが楽曲を選び、理想的な雰囲気の中でオーケストラと共演する機会も含まれていました。アーノンクールは、天使ラファエルの助けを借りて盲目の父親を癒すため、トビアスが天使と共に冒険の旅に出るという、聖書外典に基づいた、ハイドンのほとんど知られていないオラトリオを選び、聴衆を驚かせました。このテーマの精神に則り、コンサートの収益はサラエボ戦争の犠牲者を支援する慈善団体に寄付されました。この作品は、2013年のザルツブルク音楽祭でフェルゼンライトシューレで開催されたコンサートにおいて、アーノンクールの指揮の下、理想的なソリスト陣と壮麗なアルノルド・シェーンベルク合唱団によって演奏されました。オルフェオ・インターナショナルによるこのライブ録音は、バックグラウンドノイズがほぼ皆無で、レコード史上、この極めて稀にしか演奏されないハイドンのオラトリオの録音としては3番目のものです。ハイドンのオペラやオラトリオの多くが、なぜこれほど演奏されないのか、改めて疑問に思います。客観的に見れば、「トビアへの帰還」は、ハイドンのヒット作であるオラトリオ「天地創造」や「四季」に決して劣るものではありません。