詳細:モーツァルトはヨゼフ・クリップスにとって音楽の基準でした。「私の格言は、すべてがモーツァルトの作品のように聞こえなければならないということです。そうでなければ、演奏はまずいものになるということです。」本書には、フィリップス・レコードに録音されたコンセルトヘボウ管弦楽団とのモーツァルト交響曲の録音（1972～73年）が収録されており、交響曲第33番のリハーサル風景や、デッカ・レコードに録音された1955年のウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の名盤「ドン・ジョヴァンニ」も含まれています。これらに加えて、マーラーの「大地の歌」の希少な「ライブ」録音、ハイドン、シューベルト、シューマン、ブラームス、チャイコフスキーの交響曲のステレオ・デッカ・レコード、そしてウェーバーの未発表序曲が収録されています。限定版。 1950年代半ばにステレオ技術が標準となった頃には、ヨーゼフ・クリップスはデッカのために印象的な録音遺産を築き上げており、その内容は『エロクエンス』（ヨーゼフ・クリップス版 - 第1巻）のモノラル録音集にまとめられている。デッカは、この指揮者の演奏を、カノン曲のレパートリー（シューベルトの最後の2つの交響曲、シューマンの交響曲第4番、モーツァルトの「ハフナー」と「ジュピター」）のステレオ・リメイクで数多く録音している。これらの作品では常に、クリップスが40年以上探求してきたレパートリーについて、より深く、より賢明なことを語り、モノラル版との比較を魅力的にしている。モノラル時代のモーツァルトの「後宮からの逃亡」のバージョンを補完するものとして、クリップスはステレオ版の「ドン・ジョヴァンニ」を録音した。今回はより国際色豊かでウィーン的ではないキャストで、官能的な歌声のドン・ジョヴァンニをチェーザレ・シエピが率い、フェルナンド・コレーナがレポレッロ役で脇を固めている。セットに含まれるその他の声楽の至宝としては、インゲ・ボルフによるベートーヴェン、ウェーバーの堂々とした演奏、そしてシュトラウスの「サロメ」の終幕が挙げられる。またデッカのアーカイブにはウェーバーの「オベロン」序曲のステレオ録音もあり、これが今回が初公開となる。ウィーン交響楽団との共演では、スターソリストのフリッツ・ヴンダーリヒとディートリヒ・フィッシャー＝ディースカウを迎えたマーラーの「大地の歌」のライブ録音がある。オーストリア＝ドイツのカノン以外のクリップスの作品はほとんど記録に残されておらず、1958年のウィーン・フィルハーモニー管弦楽団版によるチャイコフスキーの交響曲第5番の美しく形作られた構成と鮮明さがそれを物語っている。この演奏から、モーツァルトがクリップスの音楽の基準であったことは容易に想像がつくだろう。そしてフィリップスのために、彼はついに生涯を通じて演奏してきた第21番以降の中期および円熟期の交響曲を徹底的に調査したのである。フランスではマリナー指揮の初期の交響曲とセットで発売されたこのセットには、クリップスが持ち前の親しみやすさと威厳をもって交響曲第33番のリハーサル・シークエンスを指揮した内容が含まれており、これが国際的に初めてCD化されました。交響曲自体については、クリップスは自然な温かさと息づくような鼓動でそれらを支えており、常に「伝統的な」演奏の最高峰に位置づけられています。この指揮者の遺産については、ニーク・ネリセンによる新エッセイで考察されています。写真やオリジナル・ジャケットは、クリップスの音楽制作と同様に、50年代と60年代を彷彿とさせます。