詳細:ヨハン・シャンツ(1762-1828)は生前、アントン・ワルターやナネット・シュトライヒャーと並んでウィーンで最も重要で尊敬されるピアノ製作者とされていました。彼の楽器は音楽家や作曲家から広く評価されており、特にハイドンやベートーベンは高く評価しました。初期のフォルテピアノの1台は、多額の投資なしには修復できないという理由で、1939年に個人所有からウィーン美術史博物館の古い楽器コレクションに統合されました。そこで数段階に渡って丹念に修復され、最終的に2009年に現在の演奏可能な状態に復元されました。この録音では、数十年にわたる歴史的楽器への関わりで知られるピアニストのリチャード・フラーが、このフォルテピアノでヨーゼフ・ハイドンのフォルテピアノ・ソナタ ホ長調 Hob. XVI:31 (1776) と変ホ長調 Hob. XVI:49 (1790) を演奏しています。ソプラノ歌手カロリーネ・ピルツとの共演は、この楽器がソロ楽器としてだけでなく、伴奏楽器としても独特の音響特性を持っていることを示しています。レオポルド・コゼルチによる「イタリア風アレット」（1790年）と「マリー・テレーズ・パラディに捧げるカンタータ」（1784年）も、この楽器の製作当時のものであり、KHM版の特徴となっています。