詳細：伝統を守りつつも、同時にそれを破壊し続ける、新世代のアンダーグラウンド「アメリカン・プリミティブ」ギター奏者、リアム・ギャラガーによるVHFデビュー作であり、広く入手可能な2枚目のLP。『Prodigal Son』は、旅に出るアーティストの姿を捉えた作品で、急速に変化し、湧き出るものをそのまま録音している。サウンドは生々しい。既製品ではなく草や土、ハイテクではなく手作りの音など。現代社会で日々失われつつある、文化の持つ直感的な質感と即時性。『Prodigal Son』は、それらを取り戻すためのチャンスだ。「Palmyra」では、リアムはワイゼンボーン・スタイルのラップスチールギターを使用し、ゲリラ録音技術によってファズと歪みが加えられたサウンドを奏でている。「Salmon Tails Up The River」は13分近くにも及ぶ、12弦ギターによる濃密な瞑想のような演奏で、全編を通してダークでヘヴィなムードを醸し出している。 B面の「Insult to Injury」は、雰囲気を一転させ、優雅でゆったりとした12弦ギターによる奥深い美しさの続編を奏でます。リアムが意外にもローレン・コナーズの「A Moment at the Door」をカバーしたこの曲は、ローレンのリバーブを効かせたエレクトリック・サウンドを飾り気のないアコースティック・ギター（とテープ・ヒス）へと昇華させ、まさに至高の優雅さが凍りついたような瞬間を完璧に表現しています。最後はフィドルとバンジョーをフィーチャーした「Old Country Rock」で、リアムのツアー・トリオによる往年のサウンドをほんの少しだけ垣間見ることができます。