モーゼス・サムニー - Grae (CD)
商品番号: 656605234823
詳細:モーゼス・サムニーは、義務行為としての定義を逃れる。テクニカラーのビデオとモノクロの服、アートロックとブラッククラシック、ノースカロライナの小さな町からファッションウィークに吹き込む、一見無限のコラボレーターだが、衝撃的な声はただ一つ。南カリフォルニアとガーナのアクラを行き来しながら過ごした若い人生は、根なし草というよりは、着生植物、エアプラントに近い。スケールは映画的だが、動きは芸術と管理の正確な行為である。サムニーの寛大な新しいアルバム、græは、定義できないものが依然として存在し、それに住むことは抵抗行為であるという主張である。サウンド、いや実際にはどんな事柄についても、サムニーを特定のものに絞り込もうとすると、手一杯の霧に包まれてしまうが、彼の天才性は、セットがごちゃ混ぜに聞こえることを決して許さない。近々リリースされるダブルアルバムは、サムニーの絶賛されたデビューLP『アロマンティシズム』と、それに続く2014年のEP『ブラック・イン・ディープ・レッド』で構築された音の世界を、さらに拡張する。『græ』に収録される曲は、スマッシング・パンプキンズを彷彿とさせるドラマティックな「Virile」と、陶酔感あふれるアウトロジャズ「Gagarin」のように、それぞれ異なる趣を持つ。奇抜で曖昧なバップ調の「Cut Me」と、壮大で円形劇場さながらの「Bless Me」が対比を成す。しかし、これらの要素を繋ぎ合わせるのは、常に不可解でありながらも鋭い声だ。天上のしゃがれ声、クジラの鳴き声、マイルスのホルン、ソウルフルな唸り声。これらすべてがパラドックスを生み出し、芸術とアーティストを、確かな何かの狭間、しかし間違いなく聴く者の注意を釘付けにし、息を呑むような何かへと導く。これらすべてがgræなのだ。聖書に出てくるモーセという名の人物が二元論から逃れ、巨大な体を二つに分け、私たちを聖なるものと完全な反逆者という中間の世界へと導くという比喩が当てはまるかもしれない。サムニーはgræを多面的でダイナミックな二つの作品に分割することで、リスナーが芸術を吸収し、考察するための「灰色の」中間空間を文字通り作り出している。厳密にシングルでもアルバムでもなく、歌やスポークンワードの断片だけを単独で捉えているわけでもない。どちらでもない、どちらでもない、とでも言おうか。
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