詳細：ケイシー・マクは、新作LPでありGhostly Internationalデビュー作でもある『Later that day, the day before, or the day before that』の冒頭で「思い出すことは忘れることの反対語ではない」と歌っている。これは、ロサンゼルスを拠点とするカナダ生まれの作曲家が、ピアノを弾きながら無意識のうちに、そして潜在意識に導かれる作曲セッションに没頭していた時に偶然耳にした言葉で、まさにうまい具合に間違って記憶されている。ケイシーは、2020年のブレイクスルー作品『babycasey』で子供時代を通して見た歌に声を与えたこと、そして数々の映画音楽、そしてOklou（本作でも再登場）、Eartheater、Vagabonといったアーティストとのコラボレーションで知られている。プロデューサー兼ソングライターとしての彼の才能は、質感のある世界構築と個人の真実の掘り起こしに根ざしている。『Later that day...』で彼は、私たちの心が過去のイメージに歪められ、投影してしまう傾向を理解し、真実とは何かを根本から問いかけている。鮮烈でバロック調のポップバラードを通して、ケイシー・マクは記憶は変化しやすいという考えのもと、自身のレコーディングプロジェクトと視点を再構築する。記憶に宿る喜び、痛み、愛、そして喪失はすべて解釈と解体に開かれており、彼は好奇心と完全な芸術的自由をもって、それらを巧みにこなす。「これは記憶のアルバムだ」とケイシーは簡潔に言い、さらに深く掘り下げていく。「そして、もしかしたら別れのアルバムでもあるかもしれない…答えよりも疑問の方が多いんだ」。夢を追いかけ、新しく手に入れたピアノの前に楽譜を並べながら、彼はクロード・ドビュッシー、ジョニ・ミッチェル、そして久石譲が愛したスタジオジブリの映画音楽など、新旧のインスピレーションに目を向けた。「幼い頃からずっとピアノアルバムを作りたいと思っていたんだ」。ベイビーケイシーの緻密なエレクトロニックサウンドは、『Later that day...』でも完全に放棄されているわけではなく、むしろ雰囲気のように漂い、ケイシーのより空間的でミニマルなアレンジに独特の輝きとツヤを与えている。曲ごとにテクスチャとトーンが移り変わり、まるで私たちの心が絶えず文脈を再構築し、記憶し、そして忘れていく様を映し出すかのようだ。カタルシスに満ちたオープニング曲「Grey Gardens」――タイトルはトロントのレストランに抽象的に関連した夢から来ているが、彼がもう一つの偶然の偽りの記憶として挙げている1975年の映画とは関係ない――は、アルバムの物憂げで呪われたような感覚を表現している。「歌詞を解釈しなくても、音響的に宇宙に引き込まれるような感覚にしたかったんです。ファンタジーや異世界というよりは、もっと具体的な、心と体の感覚です」とケイシーは語る。「聴き返して、この曲がその扉を開く鍵だと気づいたんです」。彼の柔らかなファルセットは、アンビエントな響きとエコーのかかったキーの上に漂い、言葉の一つ一つが丁寧に隙間に落ちていく。「Asleep At The Wheel」は、アルペジオのシンセサイザーが展開し、シンフォニックな色彩が炸裂する。シンセサイザーが反転して再びアウトロにハーモニーを奏でる。「車の事故が好き。物語が好き。思い出が好き。これは本物だって誓う…」。ケイシーは温かく内省的な「Me I Think I Found It」でデジタルな想像力を掻き立てる。抑制された、途切れ途切れのパーカッションが、ピクセル化されたイメージ ― スクリーンショット、笑顔、街灯 ― を巡りながら、愛を通してより高次の意味を探し求めるシンガーの歌声を強調する。上昇するコードの歪みを基盤とした「Dying Til I'm Born」は、このアルバムで最も大胆な感情の鼓動を与えている。後半は伸びやかで、「Is This Only Water」はまばらで霞んだような音、「Baby Voice」は親密で、何かが残ってほしいと切望する。「Words For Love」はギターのグルーヴが響き、「Tennisman9」は失恋の痛みが刻まれる。フランス人ミュージシャン、メアリールー・メイニエル（別名オクルー）は、このコレクション唯一のゲストとして、デュエット曲「The Make Believe」を締めくくる。明るく軽快な送別曲は、『Later that day...』に決意と循環的な動きの両方を感じさせる。「私たちは若い、太陽の下」と二人で歌うこの歌は、軽やかさに満ちた別れのイメージを描いている。