詳細：グレイシーホースは楽曲に物語を織り交ぜている。ワーフ・キャットとの初コラボレーションとなるニューアルバム『LA Shit』で、彼女は過去5年間の人生を振り返る。旅する看護師として、ワイオミング州の広大な青い大地に暮らし、パリッとした白いステットソン帽をかぶった男と踊り、防護服を着てチキンウィングを食べ、ロサンゼルスのような街の奇妙さ、カウボーイ気取りの男とファストフード店で溢れていることを嘆く彼女の姿が目に浮かぶ。このアルバムは、トラックで大音量で流しながら、人気のないハイウェイを走り抜けるような、完璧なカントリーミュージックのアルバムだ。同時に、ユーモアと自己認識の感覚をもって語られる、生きることの激しさを歌った歌詞で満たされた、脆いアルバムでもある。 『LA Shit』に収録されている曲の中には10年以上前のものもあるが、グレイシーが本格的にアルバム制作に着手したのはパンデミックの最中だった。看護師である彼女は、職務中に首を負傷し、突然職を失った。夫と共有する自宅スタジオで、思い出を言葉とメロディーに込め、創造力が爆発した。何年も前の曲の断片が美しく形になった。すべてがうまく噛み合った。彼女は、時に言葉では言い表せないものを表現できるようになったのだ。優れたカントリーミュージックがすべきことを、彼女は成し遂げた。真摯で、そして限りなく魅力的な方法で、様々な経験をパッチワークのように繋ぎ合わせたのだ。 これらすべては、グレイシーが自分の作品に対するクリエイティブなコントロールを失っていると感じていた時期のすぐ後に生まれた。『LA Shit』は、芸術的な主体性を再び体験することについての声明だ。「Hollow Head」はアルバムの中で最も古い曲だ。「15年前に書き始めたの」と彼女は言う。「でも、じっくり腰を据えて、思うように取り組む機会がなかったの」。この曲は、捕食者の典型について歌っていると彼女は語る。利用され、それを克服しようとすることについてだ。「風は常に塵を見つけて悪魔を巻き起こすから」と、ペダルスチールの音色に乗せて彼女は歌う。「常に雑草を見つけて、かき回すのよ」。彼女の声は響き渡り、澄み渡り、感情に訴えかける。ルシンダ・ウィリアムズや往年のカントリー・スタンダードを彷彿とさせる。 「What I'm Missing」は、歌の中に世界が広がっているかのように、壮大なスケールで展開する。まるでコズミック・カントリーのようだ。安っぽいモーテルと完璧なボーカルハーモニー。犯罪捜査官の実話、インターネットで腐るほどの時間を費やす日々、そしてパンデミックの最中に医療現場で働いていることへの痛切な暗示。キーボードとペダルスチールを多用した、息を呑むような曲だ。「If You're Gonna Walk That Straight Line Son, It's Only Gonna Hurt」は砂漠に燃える炎のように燃え上がる。ニール・ヤングの曲のようなヴァイブスを醸し出す。ギターの壮大な滝のような音色に、グレイシーのボーカルは自信に満ち、探求的だ。「あなたが振っているこの8ボールには答えがない」と彼女は皮肉っぽく歌う。 『LA Shit』はグレイシー自身の重要な芸術的ステートメントであるだけでなく、コミュニティの努力によって生まれた作品だ。彼女はこの作品の制作にあたり、ロサンゼルス地域の数え切れないほどの友人たちを動員した。その多くは、パンデミックで自宅待機を余儀なくされたツアーミュージシャンやセッションミュージシャンだ。「本当に感謝しています」と彼女は語る。「このアルバムで友人たちの演奏を披露できることを誇りに思います」。まさに『LA Shit』は、まさに大家族の集まりと言えるだろう。カントリー音楽の真髄を体現した作品だ。滑稽で、胸が張り裂けるような、そして残酷な作品だ。