詳細：ロサンゼルス出身のグレイブ・フラワーズ・ボンゴ・バンドのセカンドアルバム『Strength Of Spring』は、アコースティックギターのヘッドストックに乗せられた逆ピラミッド、キャンプファイヤーの煙で描かれた虹、雲へと続く果てしない階段といった趣だ。タイ・セガルによる、この上なく清らかでクローズマイクを駆使したプロダクションによって完璧に捉えられたアコースティックギターは、この魔術師たちの紡ぎ出すグルーヴに骨組みを与え、シンガーのゲイブ・フローレスの千里眼のようなうめき声は、リスナーにこのヌーが一体どこへ向かうのか、想像を掻き立てる。彼は、これらの突飛な楽曲を、最高に熱いギターリード、ストゥージ風のサックスの連打、そして8本腕のドラムフィルの群れが惜しみなく炸裂する、手首をひねる硬質な鼓動と共に操る。バンドは気まぐれなリフから軽快なリフへと瞬時に切り替わり、まるで笛吹き男のような6弦ギターが、メロディーと探求の美しいウサギの穴へと次々と舞い降りていく。このメンバーが頻繁に一緒に演奏していることは明らかで（ラインナップには、高く評価されているスペースロックバンドのHoover IIIと2人のメンバーが共通している）、ここで発揮されるテレパシーはシナプスのように鋭い。アルバム全体に、メモ帳を埋め尽くし、ライターを持ち上げるような、言葉では言い表せない黒魔術が流れているが、これは昨今、非常に稀に感じられるものだ。