詳細：ジョニ・ミッチェルが1975年に発表したアルバム『ミンガス』は、ミンガスの妻がセッティングした、それまでの作品よりもジャズ寄りの音楽スタイルへと傾倒しつつあったミッチェルとチャールズ・ミンガスとの45分間の会合から生まれた作品です。ミンガスは運動ニューロン疾患で死期が迫っていました。演奏できず退屈していた彼は、妻が彼に何か興味を持ってもらいたいと熱望していました。ミンガスはテープレコーダーにメロディーを録音し、サイ・ジョンソンがコード進行を担当。ジョニは歌詞を書き、レコーディング・セッションを企画しました。アルバムのバンドはウェザー・リポートのメンバーでした。ミンガスはプロジェクト完成前に亡くなりました。アルバム制作に必要な素材を確保するため、ジョニは自身の曲「ウルフ」を追加しました。このアルバムは、両ミュージシャンのファンから冷ややかに受け入れられました。現在では、特に若いジャズ・ミュージシャンの間でカルト的な人気を誇っています。中でもイギリス人歌手のイモージェン・ライオールは、ミンガスを自身のキャリアの礎であり、飛躍のきっかけだと考えています。イモージェンはオリジナルアルバムを「私にとって扉を開くもの」と表現しています。彼女のアルバムは、当時の批評家やリスナーを翻弄した謎めいたアルバムを生み出した二人の偉大なミュージシャンへの、愛情溢れるトリビュートです。イモージェンのアルバムはミンガスの3つの側面を提示しています。「Chair in the Sky」は、彼の終盤を捉えています。衰弱しつつも、決して後悔のないユーモアを失っていません。「God Must Be a Boogie Man」は、ジョニがコンセプトを遊び心たっぷりに表現しています。「Self Portrait in Three Colours」は、元々はインストゥルメンタルバラードとして作曲されたもので、イモージェンが独自の思慮深く鋭い歌詞を加えています。