詳細： 2023年リリース。Maple Glider名義で活動するTori Zietschにとって、音楽は宗教、疲弊させる人間関係、そして自身の脳といった、数々の抑圧的な制度からの逃避手段だった。14歳で、Zietschは束縛的で深く制限された宗教的生い立ちから解放され、15歳でコードブックからギターを習得した後、スケートパークで初のライブを行った。ブリスベンのオープンマイクシーンをツアーした後、イギリスに移住し、メルボルンに戻った彼女は、2021年に批評家から絶賛されたデビューアルバム『To Enjoy is the Only Thing』をリリース。ローリングストーン誌はこれを「近年で最も完成度の高いデビューアルバムの1つ」と評した。『I Get Into Trouble』は、錬金術的な痛みのサウンドと言えるだろう。それぞれの曲において、Zietschは苦難と混乱を明晰さと深い洞察へと変容させている。彼女は、率直で痛々しいほどに正直になる機会を大切にしている。このアルバムはデビュー作のテーマをさらに発展させたものであり、より深く明確なディテールへと踏み込み、キリスト教徒として育った幼少期を振り返りながら、自身の身体やセクシュアリティとの関係性、そして同意と恥の概念を解体していく。楽曲全体を通して、宗教とセクシュアリティの間には小説のような細やかな類似点が描かれ、希望に満ちた楽観主義へと落ち着くと、安らぎに満ちた新たな人生へと導かれる。デビュー作で聴いた、中毒性のあるフォークポップのフックと、空間と広がりの感覚を巧みに融合させている。適切な場所では緊密に、自由な形式で、巧妙で折衷的な構成、遊び心があり、また時には不規則な要素も持ち合わせている。