詳細:ボブ・ディランの『アナザー・サイド』やビートルズの『ラバー・ソウル』のように、『フェイス・トゥ・フェイス』はキンクスの黄金期の始まりを示す作品だ。このアルバム以降、キンクスのレコードは単なる曲集ではなく、素材が全体の全体像を形作る首尾一貫した枠組みとなる。このレコードは「コンセプト・アルバム」の誕生を象徴する作品と言えるだろう。プリティ・シングスの『SFソロウ』など、初のコンセプト・アルバムを競うレコード群（もちろん『トミー』以前）の中で、『フェイス・トゥ・フェイス』は文句なく最も価値のある作品だ。レイ・デイヴィスのテーマがすべて表現されている。英国上流階級の物質主義（「ハウス・イン・ザ・カントリー」、「モスト・エクスクルーシブ・レジデンス・フォー・セール」）、憂鬱（「トゥー・マッチ・オン・マイ・マインド」）、郷愁（「アイル・リメンバー」）。しかし、こうしたテーマは常にデイヴィスを、時代を超越した、心に突き刺さる諦念の曲へと導く。そして、このアルバムもまさにその例だ（「サニー・アフタヌーン」）。 60 年代のポピュラー音楽のファンなら必ず聴くべき作品です。