究極のロードムービーとして構想され、数十年をかけて制作されたヴィム・ヴェンダース監督のこのSF大作は、落ち着きのないクレール・ターナー（ソルヴェイグ・ドマルタン）が、盲人を見えるようにし、夢の映像を現実世界に再現できる装置を持つ謎の人物（ウィリアム・ハート）を追って大陸を横断する物語です。監督お気に入りのミュージシャンを多数集めた多彩なサウンドトラックと、ロビー・ミュラーによるゴージャスな撮影により、ハルマゲドンの影の下で繰り広げられるこの息もつかせぬ冒険は、主人公たちを地の果て、彼ら自身の魂の奥底へと連れて行きます。287分のディレクターズカット版として堂々の上映となる『世界の果てまで』は、ヴェンダース監督の最高傑作、映像の快楽と危険への宇宙的な頌歌、そして映画のデジタル化の未来を予見した瞑想として、正当な位置を占めています。