詳細：ウィリアム・エリオット・ホイットモアのアンチ・レコードからのデビュー作『アニマルズ・イン・ザ・ダーク』のオープニングトラック「Mutiny」を聴くと、これが彼の過去3作に及ぶ南部三部作の単なる続編ではないことがはっきりと分かる。ミシシッピ川沿いにあるアイオワ州の馬牧場を取り巻く世界、そして人生と喪失を映し出すのではなく、『Mutiny』はホイットモアの焦点が外へと、つまり国の現状や政府の失策へと向けられていることがわかる。しかし、『アニマルズ・イン・ザ・ダーク』は決して政治的なレコードではない。ビリー・ブラッグのレコードというよりは、ゲイリー・デイヴィス牧師の説教ブルースや、ブルース・スプリングスティーンの『ネブラスカ』のロマンティックなポピュリズムに共通する部分が多い。『アニマルズ・イン・ザ・ダーク』が際立たせているのは、模範的なアーティストの成熟と成長だ。このリリースで、ホイットモアは彼のクラシックなソングライティングとアコースティックギターとバンジョーの卓越した演奏を披露するだけでなく、ストリングス、オルガン、ペダルスチールといった要素も加え、楽曲を初めてフルアレンジとバンド編成に組み込んだ。その結果、30歳の彼が批評家から絶賛されてきた確かなソウルは失われることなく、より広がりのある洗練されたサウンドが生まれた。