詳細：マット・スローカムの過去6枚のアルバムと同様に、『Lion Dance』は傑作と言えるでしょう。世界クラスの演奏家、ウォルター・スミス3世とラリー・グレナディアと共に、テナーサックス、ベース、ドラムセットのトリオ編成を初めて探求したスローカムは、バンドメイトほど有名ではありませんが、真の仲間として、繊細な挑戦によって表現の自由度を高めた5つのオリジナル曲と、ジャズとアメリカン・ソングブックのスタンダード曲3曲を、確かな足取りで演奏しています。その出来栄えは、グレナディア、マーク・ターナー、ジェフ・バラードとの長年のユニットであるフライ・トリオ、スミス自身のベーシストのハリシュ・ラガヴァンとエリック・ハーランドとの「TWIO」、グレナディアとスミスによるビル・スチュワート・トリオ、スミスとルーベン・ロジャースによるケンドリック・スコット・トリオといった、21世紀のこのジャンルの先駆者たちによる正三角形を指向した作品と肩を並べるにふさわしいものです。 ウォルター・スミスは、その理由の一つとして、スローカムのテーマへの集中力、つまり、ビートやドラムキットの音色を、その場その場でアンサンブルの指示に合わせて形作り、彫刻し、洗練させる能力を挙げる。「マットはいつも、物事がどう構築されていくかを考えていたように思う」と、スローカム率いるプロジェクトに4度目の参加となるスミスは語る。2人は2000年代半ば、ロサンゼルスで若くして音楽の道を志していた頃からの友人であり、音楽のコラボレーターでもあった。当時、南カリフォルニア大学のジャズ・プログラムに奨学金を得て入学したスローカムは、ピーター・アースキンに師事し、ジェラルド・クレイトン、マッシモ・ビオルカティ、デイナ・スティーブンス、テイラー・エイグスティといった、後に彼の初期の作品に参加した大物アーティストたちと演奏活動を行っていた。 「セクションごとに雰囲気やビートは異なりますが、重要なのは曲全体の流れ、つまり音楽の形であり、コードやメロディーの音符がどこにあるのかといった細かいことではないんです」とスミスは付け加える。「マットは全体像を把握していて、それが優れたバンドリーダーの特徴です。細かいことにこだわりすぎないからです」 「マットのことを最初に教えてくれたのはジェラルドでした」とグレナディアは語る。彼は2019年リリースの『Sanctuary』でクレイトン＆スローカムと共演し、2022年にはスミス＆エイグスティとのカルテットで批評家から絶賛された『With Love and Sadness』を演奏した。「彼はドラムの音色が素晴らしく、チューニングや他の楽器との調和も熟知しています。彼の作曲は、今のジャズ作曲家ほど複雑ではなく、むしろ20世紀の古典作曲家たちのように、ほとんどが1ページの楽譜で、余白がたっぷりと残されています。」 「マットはメロディー重視の人です。歌いやすく、筋が通っていて、聴く人を惹きつける曲を書くんです」と、この記事の執筆時点で6つのテナー・ベース・ドラム・トリオを率いているプロデューサーのジェローム・サバグは付け加える。「彼のサウンドは、意図的で非常にバランスが取れていると思います。ドラムキットのあらゆる部分にマイクを置くエンジニアのジェームズ・ファーバーは、マットの綿密な構想のおかげで、ジェームズはマットの演奏を捉えるだけで、ほとんど何もする必要がなかったと言っていました。」 スローカムの見解では、サックストリオの環境がもたらすハーモニーの可能性は、作曲プロセスを「簡素化」した。2023年12月のセッションに至るまでの数ヶ月間、彼はスミスとグレナディアと共にレパートリーを練り上げ、「何がうまくいくか、何がうまくいかないか、そして修正を加えたら何がうまくいくか」について彼らの意見を引き出し、どのような素材になるかを絞り込んだ。メンバー全員が同じ部屋で2トラックのアナログテープにダイレクト録音したため、パンチインやソロのやり直しといったセーフティネットが不要となり、たった1回のリハーサルでインスピレーションが瞬時に湧き上がり、制作が進んだ理由の一つはここにある。 「ずっとサックス・トリオのレコードを作りたかったんです」とスローカムは言う。「ドラマーにとっても、サックス奏者にとっても、これはベンチマークになると思うんです」 -テッド・パンケンによるライナーノーツより抜粋。