詳細： 2019年後半、カート・ワグナーは新たな試みに取り組んでいました。それは後にラムチョップのショーチューンズとして発表されることになるものでした。シンプルなギタートラックをMIDIピアノトラックに変換することで、「突然、ピアノを“弾ける”ことに気づいたんです」と彼は言います。「この変換によって、各音符を自在に操り、コードやメロディーを足したり引いたりアレンジしたりできるようになったのは、まさに啓示でした。ギターを使った作曲方法では、これまで全く制約のなかった表現方法が生まれるのです。」 こうした制約を取り払うことで、驚くべき新しいサウンドが生まれた。ショー・チューンに似たサウンドでありながら、エッジを削ぎ落とし、カート独自の視点から捉えたサウンドだ。「一般的に言って、あまり好きではないジャンルだったんだ」と彼は認める。「『グレート・アメリカン・ソングブック』系の曲や、トム・ウェイツ、初期のランディ・ニューマン、あるいはガーシュウィンやカーマイケルといったアーティストの作品は例外だけどね。ずっと同じような雰囲気の曲を作りたいと思っていたんだけど、今まで自分のスキルには限界があったんだ」 「扉が再び開いた今、時間と空間さえあれば何でも可能だと気づいたんだ」とカートは語る。これが、もう一人キープレイヤーの加入につながった。それは、誰の目にも明らかな、ごく自然なフィット感だった。多くの人にとって待望の加入だっただろう。長年の友人でありコラボレーターでもあるヨ・ラ・テンゴのジェームズ・マクニューが、今回初めてアップライトベースで参加するのだ。「彼を知っている限り、ジェームズ・マクニューは志を同じくするアーティストで、一緒に仕事をすることを夢見てきた人物だった」とカートは語る。「彼の仕事にまさにうってつけだと感じたし、彼は快くこの作品への参加を引き受けてくれた。長年、アップライトベースが私たちのサウンドにどんな変化をもたらしてくれるのか、ずっと憧れていた。そして今、この作品が完成したんだ」