詳細： 1949年、ラッキー・ミリンダーのバンドから解雇されたルース・ブラウンを、ハーブ・エイブラムソン率いる設立間もないアトランティック・レコードに推薦したのは、かのデューク・エリントンだった。これは幸運だった。アトランティックを有名にしたのはルース・ブラウンだったのだ。彼女は1949年から1960年にかけて24曲のR&Bヒットシングルを世に送り出し、そのうち5曲はビルボード・ポップチャートにランクインした。ルース・ブラウンのセカンドLPは、前年のヒットシングルとB面曲（「Book of Lies」「Just Too Much」「When I Get You Baby」「This Little Girl's Gone Rockin'」「Why Me」）を中心に構成され、さらに最近のシングル曲「Jack O' Diamonds」と「I Can't Hear a Word You Say」も収録されている。ブラウンは、明るくロマンチックな「I Hope We Meet (On the Road Someday)」から、軽快なシャウト「Why Me」まで、その音域の広さに驚嘆させられる。甘くロマンチックな声から硬くしわがれた声まで、その音色は実に多彩で、滑らかでテンポの速い「Just Too Much」から、力強く情熱的な「Somebody Touched Me」へと変化する様を聴くと、かつてのサム・クックを彷彿とさせる。ブラウンの伴奏は、クックの楽曲のような洗練さに欠けていたかもしれないし、ポップ・クロスオーバーの成功を狙っていたわけでもない（もちろん、いくつか成功例を見出したことはあるが）。「When I Get You Baby」では、彼女の歌声は、ポップ寄りの過剰なアレンジさえも克服している。高音域ではクライド・マクファターのファルセットを彷彿とさせ、「I Can't Hear a Word You Say」のような中音域と低音域では、マイクスタンドを溶かすほどの力強さを放っている。