詳細: 1967年のエリザベート王妃ヴァイオリン・コンクールは、4年前にロシアのアレクセイ・ミシュリンが優勝していたコンクールを独占しようとやって来たソ連の大規模な代表団にとって、実り多い年となった。決勝では、4人の受賞者のうち3人がラトビア人という、ソ連当局の反感を買ったのは当然のことだった。フィリップ・ヒルシュホルンの優勝は疑いようもなく、彼はまさに皇帝のような存在であり、彼のような演奏は1951年のレオニード・コーガン以来、間違いなく聞かれなかった。しかし、表彰台の3段目に、聴衆は20歳にも満たない若者の中に非凡な音楽家を発見した。ギドン・クレーメルである。彼は、主要コンクールの決勝でめったに演奏されないエルガーの協奏曲を演奏するという、異例のプログラムを披露した。彼は順位に失望したが、彼の性格が審査員を無関心にさせるはずはなかった。クレーメルの全ては、その後50年間、この楽器の歴史に名を残すことになる人物の初期の録音の中に既に詰まっている。彼の演奏は神経質で、時に荒々しくも、常に魂のこもったものとなっている。ギドン・クレーメルには人工的な美しさなど微塵もない。彼は芸術のために闘う闘士であり、その後の輝かしいキャリアを通して日々示されてきた卓越した音楽的個性の持ち主である。